
こんにちは。仏壇屋3代目のこうすけです!
実家の仏壇を兄弟の誰が引き継ぐかについて、法律上の決まりはありません。話し合いで決めるのが基本ですが、そもそも「誰か1人が引き継ぐ」と決めなくてもよい方法もあります。
この記事でわかること
- 仏壇の引き継ぎに関する法律上のルール(民法897条)
- 兄弟で揉めないための話し合いの進め方
- 引き継ぐ・買い替える・小さくする・手放す、それぞれの費用の目安
- 供養や処分の費用を兄弟でどう負担するかの決め方
- 1つの仏壇を兄弟で分けて残す方法
この記事は、親が亡くなった、実家を手放すことになった、親が介護施設に入居するといった場面で、実家の仏壇をどうするか兄弟で決めようとしている方に向けて書いています。「長男の自分が引き取るべきなのか」と悩んでいる方にも、「うちには置けない」と困っている方にも役立つ内容です。
【早わかり】実家の仏壇と兄弟の引き継ぎの要点
- 仏壇・位牌は「祭祀財産」として相続財産と別に扱われ、長男が継ぐという法律上の義務はない(民法897条)
- 引き継ぐ人は「親の指定、なければ慣習、それも明らかでなければ家庭裁判所」の順で決まるが、実際は兄弟の話し合いで決めるのが一般的
- 費用負担にも決まりはなく、引き継いだ人が負担することが多い(自社調べ)
- 誰も引き取れない場合は、閉眼供養(お布施1万〜5万円程度・自社調べ)をしたうえで手放す
- 結壇では1つの仏壇から複数のミニ仏壇を作れるため、兄弟それぞれの家に分けて残せる(118,000円〜・2つ目以降30,000円OFF)
稲垣 亘佑いながき こうすけ
創業60年の仏壇製造会社の3代目です。仏壇の一部分をそのまま活用し、手のひらサイズの仏壇に生まれ変わらせる結壇(ゆいだん)というサービスをやっています。大切な仏壇の想いと歴史を受け継ぐお手伝いをさせていただきます。
実家の仏壇は兄弟の誰が引き継いでもいい|法律上の決まりはありません

結論から言うと、実家の仏壇は兄弟の誰が引き継いでもかまいません。「長男が継がなければならない」という法律上の義務はなく、次男でも、嫁いだ娘でも引き継げます。
仏壇や位牌は、民法897条で「祭祀財産(さいしざいさん)」と位置づけられています。祭祀財産とは、仏壇・位牌・お墓など、ご先祖さまをまつるために受け継がれる財産のことです。現金や不動産といった相続財産とは切り離して扱われ、遺産分割の対象になりません。
民法897条では、引き継ぐ人(祭祀承継者)は次の順番で決まるとされています。
- 親(亡くなった方)が指定した人。遺言や生前の言葉で指定があれば、その人が引き継ぎます
- 慣習。指定がなければ、その家や地域の慣習に従います
- 家庭裁判所。慣習も明らかでなければ、家庭裁判所が定めます
とはいえ、家庭裁判所まで進むケースはまれです。実際には「兄弟のうち、引き受けられる人が引き継ぐ」と話し合いで決めるご家庭が多く、生まれ順や同居していたかどうかで自動的に決まるものではありません。
なお、祭祀財産は遺産分割の対象外のため、仏壇を引き継いだからといって相続分が減ることも増えることもありません。「仏壇を引き取る代わりに遺産を多めに」といった調整をするなら、それは法律の決まりではなく、兄弟間の話し合いで決める範囲の話になります。
兄弟で揉めないための話し合いの進め方
方針を決める前に、兄弟全員で一度話し合う場を持つことをおすすめします。誰かが独断で進めてしまうと、あとから「聞いていない」というわだかまりが残りやすいからです。
ただ、話し合いはもめごとを避けるためだけのものではありません。実家の仏壇は、家族みんなでご先祖さまと向き合ってきた場所です。だからこそ、全員で丁寧に行き先を決めること自体に意味があると、当店では考えています。
話し合いで決めておきたいこと
- 仏壇を誰が(どの家が)引き継ぐか。引き継がない場合はどうするか
- 位牌・過去帳・遺影など、仏壇の中身の扱い
- 供養・運搬・作り直し・手放す費用を、誰がどう負担するか
- 菩提寺(先祖代々お付き合いのあるお寺)への連絡を誰が担当するか
兄弟が遠方に散らばっている場合でも、全員が実家に集まる必要はありません。電話やLINEのグループでも十分に話し合えます。お寺との日程調整や当日の立ち会いは実家に近い人が受け持ち、遠方の人は費用を多めに持つ、といった役割分担で折り合いを付けるご家庭もあります。
どうしても話がまとまらない場合は、家庭裁判所に決めてもらう手続きもありますが、その前に弁護士などの専門家に相談する形が現実的です。こじれてから動くより、早めに第三者を入れた方が兄弟の関係も守れます。
実家の仏壇をどうするか|兄弟で選べる5つの選択肢と費用

実家の仏壇の行き先は、大きく5つに分かれます。リメイクについては、一般の仏壇店と結壇で費用がかなり違うため、表では行を分けました。
| 選択肢 | 費用の目安 | 期間の目安 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 誰かが自宅へ移して引き継ぐ | 運搬費+閉眼供養・開眼供養のお布施 各1万〜5万円程度(自社調べ) | 数日〜数週間 | 置き場所とサイズが最大のネック |
| 小さい仏壇に買い替える | 購入費3万〜20万円程度(自社調べ)+元の仏壇の供養・処分費 | 数週間〜 | 置き場所は解決するが、実家の仏壇そのものは残らない |
| リメイクして小さくする(一般の仏壇店) | 30万〜100万円程度(自社調べ) | 3ヶ月〜半年程度 | 対応できる業者が少ない。供養は別手配のことが多い |
| リメイクして小さくする(結壇) | 118,000円〜(税込)+引き取り費18,000〜51,000円。供養込み | 約2〜3ヶ月 | 1つの仏壇から複数作って兄弟で分けられる(2つ目以降30,000円OFF) |
| 誰も引き継がず、供養して手放す | 閉眼供養のお布施1万〜5万円程度(自社調べ)+本体の処分費 | 数週間〜1ヶ月程度 | 兄弟全員の合意が前提。位牌・過去帳の扱いも決めておく |
| 位牌だけ残して本体は手放す | 本体の供養・処分費(位牌・過去帳は手元に残す) | 数週間〜 | 手を合わせる対象が残れば十分という方向け |
選ぶ前に、一度立ち止まって「残したい」の中身を整理してみてください。実家の仏壇というモノそのものを残したいのか、それとも手を合わせる場所が残れば十分なのか。前者ならそのまま引き継ぐかリメイク、後者なら買い替えや位牌だけ残す方法が候補になります。
仏壇を自宅へ移す場合は、移動の前に閉眼供養(へいげんくよう)を行い、新しい家に安置したあとで開眼供養(かいげんくよう・魂入れ)を行うという考え方が一般的です。閉眼供養とは仏壇から魂を抜く儀式のことで、開眼供養とは魂を迎え入れる儀式のことです。住まいが変わる節目にご先祖さまと丁寧に向き合うための儀式ですが、宗派・寺院によって考え方が異なるため、日程を決める前に菩提寺へ相談しておきましょう。
仏壇にかかる費用は兄弟の誰が負担する?

費用の負担にも、法律上の決まりはありません。仏壇を引き継いだ人がそのまま負担することが多い(自社調べ)ものの、兄弟で分担しているご家庭も珍しくありません。
引き継いだ人は、この先の日々のお祀りやお寺とのお付き合いも引き受けることになります。だからこそ、引き継ぎ時にかかる供養や運搬などの費用まで1人に集中させると、不公平感が生まれやすくなります。
当店では、次のような分け方をおすすめしています。
- 引き継ぎ・手放しにかかる一時費用(供養のお布施・運搬費・作り直しや処分の費用)は、兄弟で均等に分ける
- 引き継いだ後の日常の費用(お花やお線香、お寺とのお付き合い)は、引き継いだ人が持つ
- 遠方で立ち会えない人は、その分費用を多めに負担するなど、お金と役割の両面で調整する
大切なのは、金額の多い少ないよりも「先に全員で決めておくこと」です。あとから請求される形になると、金額が小さくてもしこりが残ります。家族みんなのご先祖さまのための費用ですから、見積もりの段階からオープンに共有して決めていきましょう。
兄弟の誰も引き取れない場合|供養して手放す流れ

兄弟の誰も引き取れない場合は、閉眼供養をしたうえで手放すのが基本の流れです。住まいの事情で手放すこと自体は決して珍しいことではなく、供養まで丁寧に行えば、ご先祖さまへの感謝に区切りをつける前向きな選択になります。
1. 兄弟全員の合意を確認する
本体だけでなく、位牌・過去帳・遺影をどうするかまで決めておきます。「本体は手放すけれど、位牌は長女の家でまつる」のように分けて考えると、全員が納得しやすくなります。
2. 閉眼供養(魂抜き)を行う
供養をお願いする先は、菩提寺があれば菩提寺が基本です。お布施は1万〜5万円程度(自社調べ)が目安で、僧侶に足を運んでいただく場合は御車代・御膳料として数千円〜1万円程度(自社調べ)を包むことがあります。菩提寺がない場合は、僧侶手配サービス(閉眼供養の定額3万〜5万円程度・自社調べ)も利用できます。
なお、宗派によって考え方が異なり、「魂抜き」「閉眼供養」という言葉を使わない宗派もあります。ご自身の宗派の正式な進め方は、菩提寺に確認すると確実です。
3. 仏壇の中身を整理する
本尊や位牌は供養のあと、僧侶に引き取っていただくか、業者の引き取り供養に出すのが一般的な扱いです。過去帳は、家族の記録として手元に残す選択もあります。引き出しの奥に通帳や貴重品が眠っていることもあるため、業者に引き取りを頼む場合は、引き取り当日に業者と一緒に最終確認をしてください。
4. 本体を手放す
供養は菩提寺・僧侶にお願いし、本体の処分は別に手配するのが基本形です(お寺が本体まで引き取ってくれるケースは極めてまれです)。主な方法と費用の目安は次のとおりです。
- 自治体の粗大ごみ: 数百円〜2,000円程度(自治体により異なる)
- 仏壇店・仏具店での引き取り: 小型で1万〜2万円程度、大型は数万円程度(自社調べ)
- 不用品回収業者: 1万〜4万円程度(自社調べ)
業者を比べるときは、料金だけでなく供養(僧侶の手配)まで相談できるかも確認しておくと、手配の抜けを防げます。また、依頼する前に仏壇の寸法を測り、仏間から玄関までの経路がわかる写真を送っておくと、見積もりと当日の作業がスムーズです。結壇にも処分専門のサービスがあり、全国一律のサイズ別料金(8,800円〜)で、提携寺院が全宗派に対応して供養を執り行います。お布施は不要で、手放すと決めた場合も供養から引き取りまでまとめてご相談いただけます。
「誰が引き継ぐか」を決めなくていい|捨てずに兄弟で分けて残す選択肢

ここまで「誰か1人が引き継ぐか、手放すか」を前提にお話ししてきましたが、もう一つ、「兄弟で分けて残す」という選択肢があります。実家の仏壇を手のひらサイズに作り直せば、兄弟それぞれの家に置けるからです。
リメイクの一般的な相場と結壇の料金
仏壇リメイクとは、仏壇の扉や彫刻などの部材を活かして、小さな仏壇に作り直すことです。手がける業者はまだ少なく、一般的な相場は30万〜100万円程度(自社調べ)、納期は3ヶ月〜半年程度が目安です。
結壇では、この作り直しを手のひらサイズのミニ仏壇として、明確な料金でお受けしています。
- 梅(部分リノベーション): 仏壇の一部分を使用。四角型118,000円/円背型128,000円(税込)
- 竹(フルリノベーション): 引き取った仏壇のみを使用。四角型168,000円/円背型188,000円(税込)
- 松(オリジナルオーダー): サイズ・形に制約なし。298,000円〜(税込)
引き取り費用は地域別に18,000円(静岡)〜51,000円(北海道)で、全国に対応しています。魂抜き(供養)の費用は料金に含まれています。提携寺院で供養を済ませてから、職人が製作に入ります。納期は約2〜3ヶ月(松は約3ヶ月)です。
1つの仏壇から複数作って、兄弟それぞれの家に置ける
兄弟がいるご家庭に特にお伝えしたいのが、1つの仏壇から複数のミニ仏壇を作れることです。長男の家に1つ、嫁いだ妹の家にも1つ、と形見分けのように分けて置けば、「誰が引き継ぐか」を1人に決める必要がなくなります。2つ以上のご注文で2つ目以降は30,000円OFFになるため、兄弟で費用を出し合いやすい仕組みです。
残す部分は、「この彫りを残したい」「扉の金具を使ってほしい」といったご要望を、職人が伺いながら一緒に決めていきます。位牌の作り直し(19,800円)や過去帳の作成(5,980円〜)もあわせてご相談いただけます。
サービスの流れはサービス紹介ページに、料金の詳細はご利用料金ページにまとめています。実際にご利用いただいた方の感想はお客様の声をご覧ください。
こんな人におすすめ/おすすめしない人
こんな人におすすめ
- 兄弟の誰も大きな仏壇は置けないけれど、実家の仏壇を捨てたくない人
- 「誰が引き継ぐか」で話し合いが止まってしまっている兄弟
- 兄弟それぞれの家に、手を合わせる場所を残したい人
- 実家じまいの期限が決まっていて、供養から引き取りまで一括で頼みたい人
おすすめしない人
- 仏壇を今の大きさのまま引き継げる人(移動と供養の手配だけで済みます)
- できるだけ費用をかけずに手放したい人(自治体の粗大ごみと供養を別々に手配する方法が最も安く済みます)
- 実家の仏壇にこだわらず、新しいデザインの仏壇を一から選びたい人(買い替えの方が合っています)
よくある質問(FAQ)
Q1. 嫁いだ娘や次男でも、実家の仏壇を引き継げますか?
引き継げます。祭祀承継者に生まれ順や性別の決まりはなく、結婚して姓が変わっていても問題ありません。ただし、嫁ぎ先にすでに仏壇がある場合に2つの仏壇をどう扱うかは考え方が分かれるところなので、菩提寺の考えも聞いたうえで決めることをおすすめします。
Q2. 親の遺言で仏壇の承継者に指定されたら、断れませんか?
指定された場合は原則として断れないとされる一方、承継したあとの仏壇の扱い(小さくする・供養して手放す)は承継した人に委ねられる、という考え方が一般的です。事情があってどうしても難しい場合は、弁護士など専門家に相談してください。
Q3. 誰も住まなくなった実家に、仏壇をしばらく置いたままでも大丈夫ですか?
置いたままにしておくこと自体は差し支えありませんが、閉め切った家は湿気がこもりやすく、仏壇の傷みやカビが進みやすくなります。方針が決まるまでの間も、ときどき風を通してあげてください。実家の売却や解体の予定があるなら、期限から逆算して早めに供養と行き先の相談を始めると、慌てずに済みます。
Q4. 兄弟で位牌を分けることはできますか?
位牌を複数作り、兄弟それぞれの家でまつる「位牌分け」と呼ばれる方法があります。ただし位牌の考え方は宗派・地域によって異なるため、事前に菩提寺へ確認すると確実です。結壇でも位牌の作り直し(19,800円)を承っています。
Q5. 実家が遠方でも結壇に依頼できますか?
ご依頼いただけます。仏壇の引き取りは全国対応で、費用は地域別に18,000円〜51,000円です。お申し込み後は、相談、見積もり、引き取り、供養、製造、納品の順で進み、日程はご都合に合わせて調整します。
まとめ|「誰が」ではなく「どう」引き継ぐかで考える
実家の仏壇は、兄弟の誰が引き継いでも法律上は問題ありません。だからこそ「誰が引き受けるか」の押し付け合いになる前に、「どう引き継ぐか」を兄弟全員で話し合ってみてください。そのままの大きさで移す、小さくして分ける、位牌だけ残す、供養して手放す。選択肢はひとつではありません。
家族みんなのご先祖さまだからこそ、全員が納得できる形を選ぶことに意味があります。結壇では、実家の仏壇を手のひらサイズに作り直して兄弟で分ける方法から、供養して手放すご相談まで、まとめて承っています。「うちの場合はどうなるだろう」という段階でもかまいませんので、まずはお気軽にご相談ください。