
こんにちは。仏壇屋3代目のこうすけです!
高齢の親御さんの仏壇は、「今の世話の負担を軽くする工夫」と「将来どう受け継ぐかの話し合い」の2つに分けて考えると、やるべきことが見えてきます。処分だけが答えではなく、元の仏壇の一部を活かして手のひらサイズに作り直し、次の世代が受け継ぐ方法もあります。
この記事でわかること
- 高齢の親の仏壇の世話を今すぐ軽くする工夫と、火の始末の安全対策
- 入院・施設入居など「もしも」のときの仏壇の扱い
- 仏壇を管理しきれなくなったときの選択肢と費用の比較
- 仏壇を誰が引き継ぐかの決まりと、親との話し合いの進め方
この記事は、実家で高齢の親御さんが仏壇を守っていて、「毎日の世話が負担になっていないか」「この先この仏壇はどうなるのか」が気になり始めた方に向けて書いています。離れて暮らす方も同居の方も、今日からできることから順にお伝えします。
【早わかり】高齢の親の仏壇管理の要点
- 住宅火災による死者の約7割は65歳以上(消防庁)。電池式ろうそく・電気線香に替えれば、お参りを続けながら火の不安を減らせる
- 施設への仏壇の持ち込み可否は、施設や居室のタイプによって異なる。入居前の確認が必要
- 仏壇・位牌を引き継ぐ人は長男に限らず、親自身が指定できる(民法)。仏壇・仏具に相続税はかからない(国税庁)
- 選択肢は「そのまま守り続ける・移す・買い替える・預ける・手放す・小さく作り直す」の大きく6つ。費用と期間は方法で大きく異なる
- 結壇のリメイクなら118,000円(税込)〜・供養込み・納期約2〜3ヶ月で、元の仏壇の一部を手のひらサイズに作り直せる(一般的なリメイク相場は30万〜100万円程度・自社調べ)
稲垣 亘佑いながき こうすけ
創業60年の仏壇製造会社の3代目です。仏壇の一部分をそのまま活用し、手のひらサイズの仏壇に生まれ変わらせる結壇(ゆいだん)というサービスをやっています。大切な仏壇の想いと歴史を受け継ぐお手伝いをさせていただきます。
高齢の親の仏壇管理、悩みは「今の負担」と「これからの引き継ぎ」の2つ

親の仏壇の悩みは、整理すると「今の負担」と「これからの引き継ぎ」の2つに分かれます。この2つを混ぜたまま考えると答えが出にくいので、まず切り分けることから始めましょう。
内閣府の高齢社会白書(令和7年版)によると、65歳以上の方がいる世帯は全世帯の約半数を占め、そのうち夫婦のみの世帯と一人暮らしの世帯がそれぞれ約3割です。高齢の親御さんだけで実家と仏壇を守っている家庭は、決して珍しくありません。
仏壇の世話は、毎日のお参りに加えて、お水やご飯のお供え、お花の交換、ほこり払い、お盆やお彼岸の準備と、こまごまとした作業の積み重ねです。特に金仏壇は手入れがデリケートで、掃除だけでも気を使います。年を重ねるほど、しゃがむ・立つ・火を扱うといった動作の一つひとつが負担になっていきます。
一方で、毎日手を合わせることは親御さんの生活の張り合いであり、長年の大切な習慣でもあります。「大変そうだからやめさせる」のではなく、「続けやすい形に整える」ことをまず考えるのが、私たち仏壇屋がおすすめしたい順番です。
そのうえで、「親が世話をできなくなったら、誰が・どこで・どんな形で引き継ぐのか」という将来の話を、親御さんが元気なうちに少しずつ進めていきます。この記事では前半で「今できること」、後半で「引き継ぎの選択肢と話し合い方」を解説します。
今の負担を軽くする工夫と、入院・施設入居のときの対応

今日からできるのは、「火を使わない道具に替えること」と「お世話の内容を無理のない形に整えること」の2つです。もしもの入院や施設入居に備えた動き方も、あわせて押さえておきましょう。
火の始末の不安は、道具で解決する
消防庁の統計では、住宅火災による死者の約7割が65歳以上です。仏壇のろうそくや線香からの出火について注意を呼びかけている消防機関もあります。
だからといって、お参りそのものをやめてもらう必要はありません。電池式ろうそくと電気線香に替えれば、火を使わずに今までどおり手を合わせられます。当店でも、離れて暮らすお子さん世代からのご相談では、まずこの切り替えをおすすめしています。親御さんの日課を取り上げずに、火の不安だけを取り除ける方法です。
お世話は「毎日完璧」でなくていい
お水やお花の交換、掃除の頻度は、親御さんの体力に合わせて減らして構いません。お花を日持ちする種類に替える、お供えの品数を減らすなど、細く長く続けられる形に整えていきましょう。大切なのは形式より、手を合わせる気持ちが続くことです。
離れて暮らしている場合は、帰省したときに仏壇まわりの掃除をまとめて引き受けたり、兄弟で分担したりするのも現実的な方法です。普段は電話やビデオ通話で「仏壇のお花どうしてる?」と一言聞くだけでも、親御さんの負担や変化に気づきやすくなります。
入院・施設入居が決まったときは
短期の入院なら、ろうそくの火の元と生もののお供えを片付けたうえで、家族が帰省のたびに世話をすれば十分です。お参りの間隔が空くことを気に病む親御さんもいますが、戻ってから再開すれば大丈夫だと伝えてあげてください。
介護施設やサービス付き高齢者向け住宅への入居では、仏壇の持ち込み可否が施設や居室のタイプによって異なります。入居予定の施設に早めに確認しましょう。持ち込めた場合も火の扱いには制限があることが多いため、電池式ろうそく・電気線香が前提になります。スペースの都合で仏壇本体が難しいときは、位牌など一部だけを手元に置く方法もあります。
実家に仏壇を残す場合は、換気と掃除の頻度を家族で決めておきます。長期化しそうなら、次の章の選択肢を検討するタイミングです。
親が仏壇を管理しきれなくなったときの選択肢と費用の比較

選択肢は大きく分けると「そのまま守り続ける」「住まいへ移す」「買い替える」「預ける」「手放す」「小さく作り直す」の6つです。具体的なやり方ごとに、費用と期間の目安を一覧にまとめました。
| 方法 | 費用の目安 | 期間の目安 | ポイント |
|---|---|---|---|
| 子世代で世話を分担(帰省時にまとめて手入れ) | 0円 | 続けられる間 | 応急策。遠方だと続きにくく、お盆・お彼岸に集中しがち |
| 防火対策をして親宅で維持 | 電池式ろうそく・電気線香の購入費のみ | 即日 | 親御さんの日課を残したまま火の不安を減らせる |
| 子の家へ仏壇を移す | 運送費+移動の際の供養(宗派・寺院により考え方が異なる) | 数日〜 | 受け入れる側の住まいの広さ・間取りが課題になりやすい |
| 小型仏壇に買い替える | 購入3万〜20万円程度(自社調べ)+元の仏壇の供養・処分費 | 数週間〜 | 世話は軽くなるが、元の仏壇そのものは残らない |
| 一時預かり・保管サービス | 月数千円程度+往復の運送費(自社調べ) | 契約による | 決めきれない間の中間策。長引くと総額がかさむ |
| 供養して手放す(仏壇じまい) | 閉眼供養のお布施1万〜5万円程度(自社調べ)+処分費(自治体の粗大ごみは数百円〜2,000円程度・自治体により異なる) | 数日〜数週間 | 親の意向の尊重と家族の合意が前提。手を合わせる対象は残らない |
| 仏壇リメイク(一般の業者) | 30万〜100万円程度(自社調べ) | 3ヶ月〜半年程度 | 対応できる業者が少なく料金が分かりにくい。供養(魂抜き)の有無も業者によって異なる |
| 結壇のリメイク(手のひらサイズ) | 118,000円(税込)〜+引き取り費・供養込み | 約2〜3ヶ月 | 元の仏壇の一部を活かして小さく作り直す。供養をしたうえで加工し、複数個作って家族で分けることもできる |
仏壇を手放したり大きく動かしたりする前には、先に閉眼供養を行うのが基本の流れです。閉眼供養(へいがんくよう)とは、仏壇から魂を抜くための儀式のことで、「魂抜き」とも呼ばれます。ただし宗派によって考え方が異なり、「魂抜き」「閉眼供養」という言葉を使わない宗派もあります。ご自身の宗派の正式な進め方は、菩提寺に確認すると確実です。
どの方法を選ぶにしても、決め手になるのは費用よりも「この先、誰がどこで手を合わせるのか」です。次の章で、親御さんとの話し合いの進め方を見ていきます。
仏壇の話をどう切り出す?親と話し合っておきたいこと

コツは、「捨てるかどうか」ではなく「どう受け継ぐか」から話し始めることです。お盆やお彼岸、法要のあとなど、仏壇の話が自然に出る場を選ぶと切り出しやすくなります。
誰が引き継ぐかは、親が決められる
祭祀承継(さいししょうけい)とは、仏壇やお墓、位牌などを受け継ぐことを指す言葉です。民法では、仏壇や位牌は「祭具」と呼ばれ、現金や不動産などの遺産分割とは別の枠組みで受け継がれます。
受け継ぐ人は、持ち主である親が指定した人が最優先で、指定がなければ地域や家の慣習、それでも決まらなければ家庭裁判所が決める、という順番です。長男や親族でなければならない決まりはありません。裏を返せば、親御さんが元気な今なら、「誰に託したいか」を本人の言葉で決めておけるということです。
「捨てる話」ではなく「受け継ぐ話」として
親御さんにとって仏壇は、配偶者やご先祖さまと毎日向き合ってきた場所です。いきなり「処分」という言葉を出すと、心を閉ざされてしまうことがあります。「この仏壇をこれからも大事にしたいから、相談させてほしい」という入り方をすると、同じ内容でも受け止め方がまったく変わります。
兄弟や親族への声かけも同じです。家族みんなのご先祖さまだからこそ、一人で抱えず、丁寧に共有しながら進めていきましょう。
話し合いで決めておきたいこと
- 誰が引き継ぐか(その人の住まいに仏壇を置けるか)
- どんな形で引き継ぐか(そのままの姿で・小さく作り直して・供養したうえで手放して)
- 位牌・過去帳・遺影をどうするか
- 菩提寺(ぼだいじ=先祖代々のお墓や法要をお願いしているお寺)との今後のお付き合い
全部を一度に決める必要はありません。まず「誰が」だけでも決まると、残りの項目は自然と絞られていきます。
親が元気なうちに「小さくして受け継ぐ」という選択肢

あまり知られていませんが、元の仏壇を処分せず、一部を活かして小さく作り直す「リメイク」という方法があります。親御さんが大事にしてきた仏壇の面影がそのまま残るため、親子で「受け継ぐ話」として前向きに話し合えるのが、この方法のいちばんの持ち味です。
仏壇のリメイクを手がける業者はまだ少数で、一般にはオーダーメイド型のため料金が分かりにくく、相場は30万〜100万円程度(自社調べ)、納期は3ヶ月〜半年程度が目安です。また、供養(魂抜き)をせずにそのまま加工する業者もあります。ご先祖さまへの区切りをつけてから作り直すためにも、依頼前に供養の有無を確認しておくと安心です。
結壇では、引き取った仏壇の扉・彫刻・木材といった一部を活かし、手のひらサイズに作り直します。料金は118,000円(税込)〜のパッケージ制で、魂抜き(供養)の費用込み。提携寺院で供養をしたうえで職人が製作し、納期は約2〜3ヶ月です。引き取りは全国に対応しており、費用は地域別に18,000円〜51,000円です。詳しくはご利用料金のページをご覧ください。
「この彫りを残したい」「扉の模様が好きだった」といったご要望を、職人が聞きながら残す部分を決めていきます。つまり、親御さん本人と一緒に「どこを残すか」を選べるということです。ここが、親の死後に子どもだけで決める仏壇じまいとの大きな違いだと当店では考えています。
1つの仏壇から複数個を作ることもでき、2つ以上のご注文で2つ目以降は30,000円OFFになります。「誰が引き継ぐか」で話がまとまらないご家庭には、兄弟それぞれが分けて受け継ぐという、もう一つの答えになります。
実際に当店でも、お母様の介護施設への入居やサービス付き高齢者向け住宅への住み替えをきっかけに、長年手を合わせてきた大きな仏壇を手のひらサイズに作り直されたお客様がいらっしゃいます。詳しくはお客様の声をご覧ください。製作には約2〜3ヶ月かかりますから、親御さんが元気で、一緒に話し合える今のうちに動き出すのがおすすめです。サイズや状態に不安があっても、できる限り対応方法を一緒に考えますので、まずはお気軽にご相談ください。
手放すと決めている場合も、供養したうえでお別れできます
実家の売却や施設入居で、仏壇を手放すことがすでに決まっているご家庭もあると思います。結壇では仏壇の処分も承っており、料金は全国一律・サイズ別で8,800円(税込)〜です。仏壇供養(22,000円)を付けると、提携寺院の住職が全宗派に対応して供養を執り行い、お布施は不要です。
引き取り・運送・搬出作業まで料金に含まれ、追加料金はかかりません(クレーン作業など特殊な搬出のみ別途)。処分の場合も仏壇の一部を小さな写真立てに作り直してお返ししており、手放したあとも手を合わせる場所が残ります。対応エリアは全国(一部地域を除く)です。処分と作り直しのどちらが合うか迷っている段階でも、サービス紹介ページからお気軽にご相談ください。
こんな人におすすめ・おすすめしない人
結壇のリメイクがおすすめの人
- 親が大事にしてきた仏壇を、そのまま捨てることには抵抗がある
- 将来は自分の住まい(マンションなど)で手を合わせたいが、大きな仏壇は置けない
- 兄弟・親族の誰が引き継ぐか決めきれない(分けて受け継ぎたい)
- 親の施設入居や実家の整理を控えていて、供養もきちんとしたい
おすすめしない人
- 親御さんが今も無理なく世話を続けられていて、本人もそれを望んでいる(急いで変える必要はありません。電池式ろうそくへの切り替えなど防火対策だけ整えれば十分です)
- 仏壇を今の大きさのまま引き継げる住まいと担い手が決まっている
- とにかく費用を抑えて早く手放したい(自治体の粗大ごみなどが合いますが、その場合も供養の要否を菩提寺に相談してから決めると、後から悔いを残さずに済みます)
よくある質問
Q1. 仏壇や位牌を引き継ぐと、相続税はかかりますか?
A. かかりません。国税庁のタックスアンサーでも、仏壇・仏具・お墓など日常的に礼拝しているものは、相続税のかからない財産とされています。ただし、骨とう品としての価値があるものや、投資目的で所有しているものは対象外です。
Q2. 親が施設に入居した後、実家の仏壇をそのままにしておいても問題ありませんか?
A. 法律上の問題はありません。ただし、閉め切った家は湿気がこもりやすく、木製の仏壇は傷みが進みやすくなります。帰省時の換気・掃除を家族で分担しつつ、長期になりそうなら移動・一時預かり・小さく作り直すといった方法の検討を始めましょう。
Q3. 巡回している不用品回収業者に、親が仏壇の処分を頼もうとしています。大丈夫でしょうか?
A. 注意が必要です。家庭の不用品の回収には市区町村の許可が必要で、許可のない業者とのトラブルについて国民生活センターが注意を呼びかけています。頼む前に許可の有無・料金の内訳・供養の扱いを確認してください。高齢の親御さんは訪問営業をその場で断りにくいこともあるため、「仏壇のことは家族に相談してから決める」と親子で約束しておくと安心です。
Q4. 仏壇を子どもの家に移すとき、供養は必要ですか?
A. 移動の前に閉眼供養(魂抜き)を行い、新しい場所で開眼供養(魂入れ)を行うという考え方が一般的です。区切りをつけて気持ちよくお迎えするための儀式です。ただし宗派によって進め方は異なりますので、まず菩提寺に相談してみてください。お布施の目安はそれぞれ1万〜5万円程度(自社調べ)です。
Q5. 親が元気なうちに仏壇の行き先を決めるのは、縁起が悪くないですか?
A. 縁起が悪いという決まりはありません。元気なうちに決めておくことは、生前整理のひとつとして広まっている考え方です。むしろ親御さんの意向をゆっくり聞ける貴重な機会になりますし、ご先祖さまへの向き合い方を家族で確かめ合う時間にもなります。
まとめ|話し合える今が、いちばんの相談どき
高齢の親御さんの仏壇は、「今の負担を軽くする工夫」と「将来の引き継ぎの話し合い」の2本立てで考えれば大丈夫です。今日できることとしては、電池式ろうそく・電気線香への切り替えがいちばん効果的で、親御さんの日課を守りながら火の不安をなくせます。
引き継ぎの話は、「捨てるかどうか」ではなく「どう受け継ぐか」から始めてみてください。誰に託すかは親御さん自身が決められますし、元の仏壇の一部を手のひらサイズに作り直して受け継ぐ方法なら、親子で一緒に選ぶことができます。
当店は、仏壇の引き取りから供養、作り直し、処分まで一括してご相談いただけます。お電話やLINEで気軽に聞いていただくだけでも構いませんので、サービス紹介ページからお声がけください。家族みんなのご先祖さまのことだからこそ、丁寧に、一緒に考えていきましょう。